calendar

S M T W T F S
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031   
<< October 2018 >>

profile

@yurippe_momo
Blog Ranking
BlogRanking

デリア :: キャラクターストーリー

0

    暖かい日差しが降り注ぐ秋の日だった。
    ある王国の国王と王妃、そして彼らと同じ明るいブロンドの髪をした子供たちが軽やかな足取りで遠足に出掛けていた。
    近くには気を張り詰めた兵士たちがゆっくりと周りを警戒しながら護衛しており、久しぶりに家族みんなで外に出られたことに大喜びの子供たちはそれぞれ、オモチャの木刀を持って先を争って走りまわっていた。

    その中で一番活気にあふれ走っているのは、末っ子のデリアだった。
    自分より頭一つ大きい兄たちに混ざり、勢い良く「かかってこい!」 と騎士の真似をする姿は、誰が見ても愛おしく感じる光景だった。

    意気揚々と挑発するデリアに、兄たちはヤンチャな笑みを浮かべながら、かかっていった。
    遠くから眺めていた国王は、またデリアが危ない遊びをしようとしている姿を見てそわそわしていたが、王妃は「まだ幼い子供なのですから仕方ありませんよ」と、困ったような笑顔で夫をなぐさめた。国王はそんな末っ子が常に気掛かりで心配であった。
    末娘のことになると、常に過保護になりがちな王をなぐさめることに慣れた光景であった。

    遠くから、兄たちから勝利を勝ち取ったデリアがきれいな金髪をぼさぼさにして、今の姿を見たかと王と王妃に駆け寄る姿が見えた。
    王はその日も、娘のために用意してきた高級な可愛い人形をそのまま城に戻すしかなかった。

    デリアがお嬢さんと呼ばれる年齢になると、国王はこれ以上耐えられぬといい、愛娘から剣を奪った。
    剣の代わりに許されたのは手芸と社交ダンスの授業などだった。
    デリアは当然反発した。
    騎士になるために王国を離れ修行に出る兄たちを見送り、自分もすぐ後から付いていくと言ったのがつい最近のことだ。
    もう自分の行くべき道を進んでいる兄たちがいるのに、こんなままごとのような授業を大人しく聞いていることは到底できなかった。

    「姫様!デリア姫様!」

    手芸の授業をこっそり抜けたデリアを探す侍女の声が広い廊下いっぱいに響いた。
    何度も似たような状況を経験している侍女は、すぐ王宮裏手の軍事訓練場に向かった。

    「これで5連勝ね、お兄さん?」

    試合を終えたデリアが無邪気な笑顔でぴょんぴょん飛び跳ねながら言った。
    剣を握ったまま地べたに座って、虚しく笑う対戦相手は、歳があまり変わらない一番下の兄であった。

    「ゴホン。姫様、試合が終わった後は礼儀正しく相手に敬意を払わなければなりません。」

    審判をしていた剣術の教官が、デリアにやや控え目に注意した。

    「ごめん、ごめん!それじゃ、お疲れ様でした。」

    デリアは教官の言葉通り、ペコリと頭を下げた。

    「ハハ、その実力なら、お前が僕の代わりに戦いに出てもいいね、デリア。」

    地べたに座り込んでデリアを見上げた兄は、仕方がないといったような表情で言った。

    次の遠征に自分も一緒に行くことになったというのだ。
    今まで訓練だけだった兄の実戦デビューの知らせでもあった。

    デリアは気丈に振る舞って兄を応援したが、心の中では複雑な気持ちになっていた。
    以前も一番上と二番目の兄を戦場に見送ったことはあったが、年齢も近くて今まで一番多く競い合ってきた相手である一番下の兄が、自分があれほど望んでいた戦場に出るということに、素直に喜ぶことができない彼女であった。
    複雑な感情に揺れ動きながらデリアはいつもより早く訓練場を去った。

    国王は愛娘デリアの「騎士ごっこ」がいつまで経っても終わる兆しが見えず、頭を痛めていた。
    やさしく諭しても、無理やり王女教育を受けさせても、デリアは全く従わなかった。
    むしろ一番下の兄が戦いに出るという知らせに刺激を受けたデリアは、以前よりも授業を逃げ出して、少しでもたくさん剣術を磨こうと、練習に励んでいた。

    静かに続く父と娘の神経戦に、先に参ったのは父のほうだった。
    自分に対して冷ややかな態度で接する娘に耐え切れなかった王は、デリアに「王女の責任を果たしながら騎士としての成果をあげたら騎士になることを承諾する」と条件をつけた。
    きっと2つの内、1つは諦めることになり、そうすれば素直に約束を守って剣を捨てさせることができるはずと思ったのが本音だろう。

    デリアはこれから授業を抜け出せなくなることが少し不満であったが、こっそり剣術訓練をしなくて済むだけでもかなり嬉しかった。デリアは迷うことなく、喜んで父の提案を受け入れ、親子の神経戦は一段落した。
    その日、王は久しぶりに可愛い末娘の笑顔を見ることができた。

     

     

     

    デリアは王国騎士団の小さな部隊に入ることになった。
    デリアを引き受けることになった部隊長は仕方なく連れては来たものの、王女のことをお荷物としか思わなかった。
    訓練中デリアに傷でもつけたら、牢屋に閉じ込められるのではないかと心配になった。そして、部隊の他の兵士たちも同じようなことを考えていた。

    王女の「騎士ごっこ」に付き合わなければならない状況に不満を持った一部の兵士たちはデリアに雑用ばかりさせたり、王女様、王女様と皮肉な態度をとっていた。
    ただし残念なことに、そんな兵士たちの行動は王女本人には響かなかった。
    むしろ、彼らがやらせた雑用でさえも楽しくやるデリアは、夢に描いた騎士団生活を満喫しているおかげか全く気にも留めなかった。

    そんなある日、稽古中にお互い力を入れすぎたあまり、相手だった兵士がデリアに大怪我を負わせてしまった。
    デリアは笑いながら平気だと言ったものの、デリアの傷を見た王は、犯人を探せと激怒した。
    稽古相手の兵士はぶるぶる震えながら頭を下げ、デリアを嫌っていた連中は、いつかこんな日が来ると思っていたと、不満を隠さなかった。

    平身低頭して脅えている兵士に罰を与えようとした王を止めたのはデリアであった。
    王に対し、冷静になるようにと諭しながら、落ち着いて説得するデリアから少女の顔に隠れていた王女の姿が垣間見えた。
    王は娘のことで感情的になったのは間違いだったと謝罪し、罪なく捕まった兵士には手厚く償った。

    その日から、王国騎士団ではデリアを無視することは一切なくなった。
    むしろデリアが戦闘や遠征に参戦する度に兵士たちの士気が上がっていた。
    デリアはやがて小規模の戦闘や遠征に出るようになり、常に目標以上の成果を得て帰って来た。
    戦場でさまざまな勝利を積んでいく彼女は、王が望んでいた方向とは違う方向に、着実に成長していった。

    王女と騎士としての仕事を順調にやりこなす娘を見て苛立たしい感情をおぼえた国王は、娘が所属する部隊の兵士たちに次の遠征でデリアを妨害して失敗させるように命令した。
    兵士たちは自分の意志とは関係なく、王の命令に従うしかなかった。
    遠征に出ると、がらりと変わってしまった仲間の態度に苦しみながら任務を遂行しようとしたデリアの努力にもかかわらず、任務は失敗した。
    王はデリアに最初にした約束を口にして再度剣を奪ってしまった。

    王はこのチャンスを逃がさないと言わんばかりに、デリアと隣国の王子との婚約を突然決めた。
    隣国の豊かで発展した姿と王子の貴い品性を強調しながら、父が娘のためにどれだけ慎重に相手を選んだのかを熱く語っていた。
    しかしデリアはつんとした顔で聞いているたけで、どうすればこの場から逃げられるかしか頭になかった。

     

     

     

    婚約を執り行う前の形式的な行事中に王子の舞踊を披露する剣闘会が始まると、デリアはやっと少し興味を示した。
    しかし王子の剣術の実力はデリアの興味を満たすにはとうてい足りなかった。

    見るに耐えきれず、デリアは止める侍女の手を振り切って、丁寧に時間をかけ着させられたドレスをたくしあげて、そのまま闘技場に飛び込んだ。
    歩哨兵の剣を奪って、闘技場の垣根を大胆に飛び越えるデリアは、幼い頃兄たちと剣で競い合っていた時に見せた、いたずらっ気たっぷりの少女の笑みを浮かべていた。

    デリアは予定よりも早く帰って来た。
    王は帰って来た侍女から、剣闘会に乱入して王子を剣術で叩き伏せたデリアとの婚約を先方が丁寧に断ってきたという知らせを聞いて、頭痛で眉をしかめ、娘にしばらく謹身することを命じた。

    王宮から離れた塔に閉じ込められたデリアは、この王国では決して自分が願う道に進むことが叶わないことに気付いた。
    デリアは王国と家族たちを愛する心と王女としての責任を手紙一枚にしたためた後、
    空が黒い雲に覆われ月明りすらない、ある日の夜、そっと塔を抜け出した。

    城壁に辿り着いた頃、見回りの兵士が王宮を抜け出そうとしていたデリアを発見した。
    ばれたと思って絶望しそうになったデリアに、兵士はこっそり出られる抜け道を教えてくれた。
    その兵士は以前デリアを傷つけ、王から不当な処罰を受けそうになった者だった。
    デリアは小さい声で感謝を述べ、彼が教えてくれた方向に走って行った。
    兵士はその方向に進むと、少し珍しい人々が住む村に出るはずだと言った。

    暗闇の中、兵士が教えてくれた道を信じて無我夢中で走っていると、いつの間にか遠くに村が見えてきた。
    村に入ったデリアは、この場所を教えてくれた兵士がどうして少し珍しい人々が住む村だと言ったのかすぐわかった。
    住民たちを含め、建物も道具も今まで見たことがないくらい大きなその場所は、ジャイアントが集まって住む村であった。
    幸い、彼らは外部の人間の訪問を受け入れてくれた。そしてデリアはここを教えてくれた兵士の名前を知るジャイアントを探し、しばらく泊まらせてもらうことができた。

     

     

     

    外部からの人の足どりが中々及ばない所だからか、高級そうな服を着て、たった一人で訪ねてきた金髪の少女はあっという間に村人たちの関心事となった。
    彼らはデリアについてあれこれ尋ね、デリアは王女という身分以外、彼らが尋ねることに素直に答えた。そしてそんな彼女の真摯な態度にすぐ彼らは心を開いてくれた。

    会話中に、誰かがここに来た理由を尋ねると、デリアは騎士になるための旅の途中だと答えた。
    騎士という言葉にジャイアントは目を輝かせ、デリアに実力を見せてくれと言ってあわただしくその場を設けた。
    優れた体格を持った人々であるだけに、各々武芸に長けていて、強い関心を持っているようだった。

    デリアは城から脱出時に持って来た剣を手に取り、今まで一生懸命に修練して磨いてきた剣術を自信満々に披露した。
    彼女の王室の正統剣術を見た村人たちは、そんな踊り子のような動きで何が斬れるんだと、周りに笑い声が響いた。
    皮肉った本音がない豪快な笑いに、デリアの顔は真っ赤になり反論をはじめた。

    そんなデリアを可愛いと思ったのか、またひとしきり笑い声が響いた。
    頬を赤くして息巻くデリアに、村の鍛冶屋のようなジャイアントが大きな剣を一つ渡してくれた。手にしたその剣はずっしり重みのある大剣であった。

    「その剣は我々の村で一番小さい剣だ。当然、武人ならこのくらいの物を使ってこそ、力が発揮できるんじゃないか?
    ハハハ。どうやら、事情があってここまで来たようだし、これは我々からの歓迎のプレゼントだと思いたまえ、兄弟よ。」
    「私は兄弟ではありません!」

    反射的に言い返しながら、デリアはバスタードソードにしか見えないその剣が、一番小さい剣ということに驚きを隠そうと必死だった。
    何か負けた気がした彼女は、しばらく村に残ってジャイアントからその剣の扱い方をこの機会に学ぶことにした。

    その「バスタードソード」に慣れてくるとデリアは王宮を発つ時に持って来た剣よりも、「バスタードソード」を多く使うようになった。
    彼らが教えてくれる自由奔放な剣術が気に入ったこともあったし、これを与えてくれた彼らの強靭さが自分にも伝わって来るようだったからだ。

     

     

    時が流れ、デリアがジャイアント村を去る日が近づいてきた。
    剣を渡してくれた鍛冶屋はデリアに海の向こうにある「コレン」という村について教えてくれた。
    実力のある傭兵団がいる村で、騎士になるための経験を積むにはそこがお勧めだと言った。その言葉を聞いたデリアはす、すぐに目的地をコレン村に決めた。

    かなり長い間、船に乗って到着したその場所は、思ったより小さな村だった。以前までとても大きい村にいたから小さく見えるのかも知れないと思いながら、傭兵団を探して村を歩きまわっていると、どこか見慣れた体格の人を見つけて、デリアは思わず声をかけた。彼は初対面にもかかわらず人懐っこい顔で、ここには何の用で来たのかと聞いてきた。傭兵団を探しているというデリアの返事に、彼は自分が傭兵団の人間だと言いながら案内しようと言ってくれた。道案内に着いていこうとした時、デリアの背の大剣を見た彼は、大きな手で軽々と剣を持ち上げながらこう尋ねた。

    「この剣はどこで手に入れたんだ?」

    デリアはコレンに来る前にいたジャイアントの村について説明した。

    「その村で何事もなく過ごすことが出来ていたのなら、このコレンでもすぐ慣れるだろう。」

    そう言った男は、一瞬だけ何だか懐かしそうな表情を浮かべた。

    色んな話をしながら歩いていると、いつのまにか目の前に傭兵団の建物が見えた。
    デリアが緊張で高揚する気持ちを胸に入ろうとした瞬間、鐘塔から大きな音が鳴った。
    目の前の門がパッと開き、中に居た傭兵たちが我先にと鐘塔へ向けて一斉に駆けて行った。
    デリアを案内してくれた男も行かなければと、方向を変え傭兵たちが向かった方向に走り始めた。
    状況を把握したデリアは、背中に剣があることを確かめて、彼に続いた。
    自分について来るデリアの姿を見た男は高笑いしながら言った。

    「これが傭兵としての初仕事になるな。見ようによっては、お前は俺の後輩になるから困ったことがあったら何でも言いたまえ、兄弟よ!」

    彼は大きな手でデリアの背中をバンバンと叩いた。
    聞き覚えのある彼の口調に、デリアは手の跡が残りそうな背中を気にしながら反射的に言い返した。

    「だから私は兄弟じゃないですって!」

     

    マビノギ英雄伝公式サイト

    「デリア キャラクターストーリー」より

     

    Copyright © 2009 NEXON Korea Corporation, Licensed to NEXON Co., Ltd. in Japan.